【レビュー】「WH−1000XM3」性能・デザイン・装着感どれも死角なし。ワイヤレスヘッドホンの決定版。

以前「WH−1000XM3」をソニーストア銀座で視聴した際にもレビュー記事を書かせてもらった。

その時に、ノイズキャンセリング機能の強力さや音質の良さは実感することができたが、それはあくまでソニーストアの店舗内での話。

店内のような静かな環境では、ノイズキャンセリングの性能を最大限活用できているとは言えない。

このヘッドホンの真の実力を図るには、電車や通勤ラッシュなど、雑音や騒音が多い状況で使用する必要がある。

10月4日の発売日に購入し、それ以来日常的に愛用しているが、毎日様々な場所で使い続ける中で、「WH-1000XM3」の凄さを改めて実感することができた。

このヘッドホンの真の実力が分かってきたところで、今回はより詳細なレビューを書いていきたい。

Bluetoothヘッドホン史上、最高のスペック

機能表
ヘッドホン部
型式 密閉, ダイナミック
ドライバーユニット 40mm ドーム型(CCAWボイスコイル採用)
再生周波数帯域 4 Hz – 40,000 Hz (JEITA)
インピーダンス 47 Ω (有線接続、POWER ON時 1 kHzにて)、16Ω(有線接続、POWER OFF時 1 kHzにて) 46 Ω (有線接続、POWER ON時 1 kHzにて)、14Ω(有線接続、POWER OFF時 1 kHzにて)
コード長 約1.2m、OFC線、金メッキステレオミニプラグ(ヘッドホンケーブル) 約1.5m、OFC線、金メッキステレオミニプラグ(ヘッドホンケーブル)
コードタイプ 片出し(着脱式)
入力プラグ 金メッキL型ステレオミニプラグ
質量 *3 約 255g 約275g
ヘッドホン部(その他)
充電時間 約3時間(フル充電) (1.5AのACアダプター使用時) 約4時間
充電方法 USB充電
電池持続時間
電池持続時間(連続音声再生時間) 最大30時間(NC ON時)、最大38時間(NC OFF時)
周波数特性 4Hz-40,000Hz
対応インピーダンス 47 Ω (有線接続、POWER ON時 1 kHzにて)、16Ω(有線接続、POWER OFF時 1 kHzにて) 46 Ω (有線接続、POWER ON時 1 kHzにて)、16 Ω (有線接続、POWER OFF時 1 kHzにて)
音声入力端子 ステレオミニジャック
型式 MEMS エレクトレットコンデンサー
指向特性 全指向性
有効周波数帯域 50Hz-8,000Hz
USBケーブル
保証書
キャリングケース
航空機用プラグアダプター
接続ケーブル
取扱説明書
Bluetooth
通信方式 Bluetooth標準規格 Ver.4.2 Bluetooth標準規格 Ver.4.1
最大通信距離 見通し距離 約10m
使用周波数帯域 2.4GHz帯(2.4000GHz-2.4835GHz)
変調方式
対応Bluetoothプロファイル *4 A2DP、 AVRCP、 HFP、 HSP
対応コーデック *5 SBC, AAC, aptX, aptX HD, LDAC
対応コンテンツ保護 SCMS-T方式
伝送帯域(A2DP) 20Hz – 20,000Hz(44.1kHzサンプリング時) / 20Hz – 40,000Hz(LDAC 96kHzサンプリング、990kbps 時)

USB-C端子、10分の充電で5時間再生可能なクイックチャージ機能、業界最高レベルのNC(ノイズキャンセリング)性能等、スペックは申し分なし。

Bluetoothヘッドフォンをスペックで選ぶなら「WH-1000XM3」一択だろう。

向こう1・2年は最高レベルのヘッドフォンとなるはずだ。

北欧テイストなシンプルデザインで飽きにくい

ヘッドホンにおいて、デザインは非常に重要な要素の一つ。ヘッドホンをデザインで選ぶ人がいるほどだ。ボク自身、あまりゴテゴテしたデザインは好みではなく、「WH-1000XM3」のようなシンプルなデザインが好み。

この価格帯のヘッドホンになると、音質面はもちろんのこと、デザインや質の良さなどファッション性の高さも重要。

「WH-1000XM3」はそのスペックもさることながら、本体のシンプルで飾り気のない大人なデザインは、非常に高級感がある。

高級ガジェットといえば、随所にアルミやステンレスなどの金属を使用するイメージがあるが、「WH-1000XM3」は全面にプラスチックを採用。本体が軽く、頭頂部の負担が少ない。

プラスチックは、表面がサラサラで、とてもプラスチックとは思えない高級感が漂っている。

折りたたみ機構を搭載するなど、何かと可動部が多いワイヤレスヘッドホンだが、「WH-1000XM3」は素材同士の継ぎ目も目立たず、フラットな見た目をしており、随所からSONYのデザインに対する熱いこだわりを感じ取ることができる。

大きなヘッドホンを首に掛けているとDJっぽく見えてしまう事があり抵抗感があったが、「WH-1000XM3」はデザインがシンプルで圧迫感がなく、服装に馴染みやすいため、首に掛けていても主張が少ない。

「WH-1000XM3」からは、今までのヘッドホンに合ったメカメカしさというか、悪い意味での「日本製品らしさ」が薄れている様に感じる。

さながら「B&O」のような、北欧デザインに近い雰囲気を感じることができる。

前モデルであるWH-1000XM2と比較してみると、パッと見た感じ見た目の差は感じにくいが、よく見ると細かいところがブラッシュアップされている。

素材による質感の向上はもちろん、形状も改善されており、より多くの人、特に日本人の頭にフィットする形状に変更された。

WH-1000XM3とWH-1000XM2を交互に試着したが、WH-1000XM3の方がヘッドバンドが頭頂部を圧迫せず、全体を包むような装着感だった。

いままでWH-1000XM2を使っていて、その形状が自分の頭にピッタリという人は、これまでと装着感が異なる点は注意が必要。

購入前に一度試着することをおすすめする。

遅延は少なめ。動画再生との相性も抜群


Bluetooth接続において、長年課題とされているのは「音声の遅延」問題だ。

音声のみの場合問題ないが、動画の場合は映像と音声のタイミングが全く合わず、使い物にならないことも多々ある。

「WH-1000XM3」の場合、遅延は間違いなく発生しているが、気になるほどではない。

実際、通勤電車内で「Youtube」や「Netflix」で映画やドラマを観ているが、遅延は意識しなければ体感できないレベルに収まっているので(iPhone 8、AAC接続の場合)、実用範囲内といえそうだ。

シビアなタイミングを求められるリズムゲーム等でもない限り、気にする必要はないだろう。

むしろ、「WH-1000XM3」は動画との相性が良いと個人的に思っている。

ドラマやアニメには、意外と無音のシーンや会話シーンが多く存在する。

電車内などの騒がしい場所で観ていると、外部ノイズによって内容を聞き取れないことが多々あるが、「WH-1000XM3」の場合、ノイズキャンセリングによってセリフのみをはっきり聞き取る事ができた。

あまりの装着感の良さに、着けているのを忘れる


本体は255グラムと非常に軽量。

WH-1000XM2は275グラムだったので20グラム軽量化されている。

軽量化による恩恵とヘッドバンド部の改良からか、装着時の頭部への負担が感じられず、長時間装着していても全く疲れない。

購入時には強めに感じた側圧も、慣れからか全く感じなくなった。

ヘッドバンドの長さも柔軟に調整できるので、頭の大きな方も問題なく使用できるはず。

強力なノイズキャンセリングと高音質の両立

ノイズキャンセリング性能は非常に強力。電車通勤や通学時に装着するだけで、外部の不快なノイズに邪魔されることなく、音楽を楽しむことができる。

ノイズキャンセリングのおかげで、音量を上げてノイズをかき消す必要もないので、音漏れの心配も少なく、満員電車でも周りに迷惑をかけず使用することができる。

ノイズキャンセリングというと、一昔前はホワイトノイズがやたら大きかったり、音質が悪かったりするのが常識だった。

しかし、本機は強力なノイズキャンセリング性能を備えているのも関わらず、有線ヘッドホンに匹敵する高音質を実現している。

正体は、ソニー独自開発の「QN1」というプロセッサ。これにより、ワイヤレスでもハイレゾ相当の高音質を実現できる。

昔のNCヘッドホンしか知らなかったので、あまりの高音質に思わずにやけてしまった。

ハイレゾ音源などのコーデックを試したことはないが、AppleMusicやSpotifyなどのストリーミングなどの圧縮された音源だと音源の方に限界を感じてしまう。

【シチュエーション別】ノイズキャンセリング性能の検証【調査】

今回、様々な場所や環境で「WH-1000XM3」を使用する中で、ノイズキャンセリングがどの程度効いていたのか、主観でまとめてみた。

具体的な騒音レベルまではわからないが、購入する前の指標として、参考にしてほしい。

場所 対象
飛行機内 エンジン音
機内アナウンス
話声
繁華街(すすきの中心部) 電光掲示板音声
話声
信号
車の走行音
電車内(山手線) 話声
社内アナウンス
走行音
品川駅構内 アナウンス
話声

シチュエーション1:飛行機内

離着陸時の走行音や、機内アナウンスはかすかに聞こえたが、飛行中のエンジン音は全く聞こえなかった。また、高高度飛行時にも、専用アプリから気圧の変化に対応可能だ。
当然、周りの話し声は全く聞こえない。安心して眠りにつくことができるので、フライト時に最適な1台だ。

シチュエーション2:繁華街(すすきの中心部)

すすきのの電光掲示板では様々な広告が流れているが、全てシャットダウン。
検証したのが金曜の夜であったため、人車ともに交通量が非常に多かったが、音楽再生中に雑音が気になることはなかった。
無音時に車の音や靴音が微かに聞こえる程度で、想像以上にノイズを軽減できている。

シチュエーション3:電車内(山手線)

都内の通勤ラッシュ時に検証。
電車の走行音はかすかに聞こえる程度で、さほど気にならない。無音時にははっきり聞こえるが、未使用時の2割程度の騒音には抑えられている印象。
社内アナウンスは「なにか聞こえるな」という感じで、何を話しているかまでは聞き取れなかった。乗り過ごし注意。

シチュエーション4:品川駅構内

同じく通勤ラッシュ時に計測。
主な騒音は話し声と足音だが、足音は全く聞こえない。話し声はかすかに聞こえるが、男性の声より女性の声のほうが目立って聞こえる印象だった。

まとめ:最高級モデルの名に恥じない性能と品質。BTヘッドホンが欲しいなら迷わずこれを買え!


「WH-1000XM3」を購入して、普段静かだと思っていた場所にもノイズが存在するということに気づかされた。

ひとたび「WH-1000XM3」を装着すると、自分の耳鳴りですらうるさく感じてしまう。

圧倒的なNC性能で作り出される完璧なリスニング環境は、一度使用するとクセになってしまう。

最近は値段も落ち着いてきて、定価よりかなり値下がりしている。

一気に値下がりが進むということもなさそうなので、今が買い時なのかもしれない。

2019/1/12 追記

最近は価格もこなれてきて、36,000円台から購入可能。性能から考えて、非常にお得といえるだろう。

近日Alexaにも対応するとのことで、今後の機能追加によってどんどん使い勝手が向上することに期待したい。

発売から数か月たったが、毎日のように使用中。2018年のベストバイにも選出するなど、お気に入りの一台になった。

WH-1000XM3B ソニー ノイズキャンセリング機能搭載Bluetooth対応ダイナミック密閉型ヘッドホン(ブラック) SONY 1000Xシリーズ

WH-1000XM3S ソニー ノイズキャンセリング機能搭載Bluetooth対応ダイナミック密閉型ヘッドホン(プラチナシルバー) SONY 1000Xシリーズ