待望の「Nintendo Switch 2」(以下、スイッチ2)の登場で、ゲーミング環境も新たなステージへと進化しようとしている。そんな中、ソニーの高性能ワイヤレスゲーミングイヤホン「INZONE Buds」が、この新しい携帯ゲーム機でどのような体験をもたらしてくれるのか、意識しているユーザーはまだ少ないかもしれない。しかし、実はこの組み合わせ、驚くほど相性が良い可能性を秘めているのだ。

何を隠そう、僕自身も当初はそこまで注目していなかった一人なのだが、以前、INZONE Buds単体の詳細なレビュー記事を書いた縁もあり、今回はついにスイッチ2で実際にINZONE Budsを使用してみた感想をお届けする。
INZONE Buds とは?改めておさらい
本題に入る前に、INZONE Buds(型番:WF-G700N)の主な特徴を簡単におさらいしておこう。より詳しいスペックや技術については、下記のレビュー記事をご参照いただきたい。
- 接続方式: USB Type-Cトランシーバー(ドングル)を介した2.4GHzワイヤレス接続が最大の特徴。これにより、Bluetooth接続特有の音声遅延を極限まで低減する。「Bluetooth LE Audio」にも対応。
- 音質: ソニー独自の8.4mm径「ダイナミックドライバーX」を搭載し、ゲーム内の微細な音から迫力ある効果音まで忠実に再現する。PCソフトウェア「INZONE Hub」で立体音響の最適化も可能である。
- ノイズキャンセリングと外音取り込み: 業界最高クラスのノイズキャンセリング技術でゲームへの没入感を高めつつ、必要な時には外音取り込み機能も利用できる。
- マイク性能: AI技術を活用した高精度ボイスピックアップテクノロジーにより、クリアな音声コミュニケーションを実現する。
- バッテリー持続時間: USBトランシーバー接続時、ノイズキャンセリングオフでイヤホン本体最大12時間、ケース併用で最大24時間という長時間プレイに対応する。
INZONE Buds 主要スペック表
スペック項目 | 詳細 |
---|---|
接続方式 | 2.4GHzワイヤレス (USB Type-Cトランシーバー), Bluetooth 5.3 (LE Audioのみ対応) |
ドライバーユニット | 8.4mm ダイナミックドライバーX |
対応コーデック (Bluetooth) | LC3 |
バッテリー持続時間 (本体) | USB接続時: 最大12時間 (NCオフ), 最大11時間 (NCオン) Bluetooth LE Audio接続時: 最大24時間 (NCオフ), 最大18時間 (NCオン) |
バッテリー持続時間 (ケース含) | USB接続時: 最大24時間 (NCオフ) |
充電時間 | イヤホン本体: 約2時間, 充電ケース: 約3時間 (USB充電) |
急速充電 | 5分充電で約1時間再生 |
重量 | 約6.5g × 2 (イヤホン本体) |
防水性能 | IPX4相当 |
マイク技術 | AIを活用した高精度ボイスピックアップテクノロジー |
主な付属品 | 充電ケース, USBケーブル, USBトランシーバー, イヤーピース (4サイズ) |
ついに実現!Nintendo Switch 2でINZONE Budsを使ってみたリアルな感想
さて、ここからが本題である。鳴り物入りで発売されたスイッチ2だが、以前ソニーが発売したワイヤレスゲーミングイヤホン「INZONE Buds」は、主にPCやPlayStation 5(PS5)でUSBドングルを接続して使用するもので、Bluetoothには対応していない(実際にはLE Audio対応のBluetooth機能もあるが、本機の真価である低遅延接続はUSBドングル経由である)。
そのため、従来の初代ニンテンドースイッチでも使用することは可能だったが、USB Type-C端子が本体下部にしかなく、充電と併用であったため、相性は正直良くなかった。

しかし!今回スイッチ2では、なんと本体上部にUSB Type-C端子が追加された。実際に携帯モードでこの本体上部のUSB端子にINZONE Budsのドングルを挿してみたところ… ばっちり動作することを確認できた! これは本当に嬉しい発見だった。
接続は超カンタン!でもドングル設定に注意点アリ
スイッチ2本体がINZONE Budsをオーディオデバイスとして認識し、特別なドライバーや複雑な設定は一切不要で、そのまま使用できた。この手軽さは本当に素晴らしい。

ドングルは本体上部のUSB端子にドングルを接続するのがおすすめ。ドック接続時やテーブルモードなどで使う際も邪魔になりにくい。
ドックにスイッチ2を接続した状態でも、本体上部のUSBポートは塞がれないため、ドングルを挿したままにしておいても大丈夫である。ドングルを外せばすぐに本体スピーカーからの出力に切り替わるので、余計な操作や設定も不要で、非常に手軽で使いやすい。
ドングル設定の注意点
INZONE Budsのドングルには、「PC」と「PS5/MOBILE」を切り替えるスライダーがある。スイッチ2で使用する際は、このスライダーを必ず「PS5/MOBILE」側に設定してほしい。 「PC」側の設定のままだと音声が出力されない可能性があるので、ここは重要な確認ポイントである。
音質とノイズキャンセリングは期待通り、いや期待以上!
スイッチ2でINZONE Budsを使うと、まずその高音質に驚かされる。クリアで定位感に優れたサウンドは、ゲームの世界への没入感を格段に高めてくれる。ソニー自慢の高性能ノイズキャンセリング機能も健在だ。周囲の騒音をシャットアウトし、ゲームサウンドに集中できる環境を作り出してくれる。

音の定位感も正確で、臨場感がすさまじい。ゲーミングイヤホンとしての素養の高さを感じさせる。INZONE Buds自体の空間オーディオ再現能力が高いため、高解像度・高性能化されたスイッチ2のゲームサウンドをよりリッチに楽しめる。
遅延は皆無!Bluetoothとは次元が違う快適さ
Bluetooth接続のような遅延はなく、2.4GHzの独自接続によって極限まで遅延が抑制されている。USBトランシーバーを介したこの接続方式は、Bluetooth接続(特に標準的なSBCコーデック)で避けられない音声遅延を劇的に解消する。
アクションゲーム、音楽ゲーム、FPS/TPSといった、音と映像の同期がシビアなジャンルのゲームでも、全く違和感なく快適なプレイが可能である。オンラインゲームや対人戦でも、この低遅延は大きなアドバンテージになるだろう。スイッチ2もBluetoothオーディオに対応しているようだが、ゲームでの快適性を考えると、INZONE Budsの低遅延は圧倒的に優位だ。
マイク性能もバッチリ!スイッチ2のゲームチャットが捗る予感
INZONE Budsは高品質なマイクを内蔵したヘッドセットでもある。スイッチ2では外部マイクにも対応しているため、接続するだけでマイクが有効化されることが確認できた。


スイッチ2の目玉機能の一つであるゲームチャットの音声通話にも、そのクリアなマイク性能を活かすことができる。別途マイクを用意することなく、手軽かつ高品質なボイスチャット環境が実現できるだろう。
友達とゲームチャットを楽しむにも、一人でオンラインゲームに集中するにも、INZONE Budsは最適だ。まさにオールインワンのコミュニケーションツールとしての活躍が期待できる。
バッテリー持ちも優秀!先にイヤホンが切れる心配なし
バッテリー持ちも非常に良く、スイッチ2本体の持続時間よりも長いため、先にイヤホンが切れる心配がないのは大きなメリット。
バッテリー持続時間 (本体) | USB接続時: 最大12時間 (NCオフ), 最大11時間 (NCオン) Bluetooth LE Audio接続時: 最大24時間 (NCオフ), 最大18時間 (NCオン) |
バッテリー持続時間 (ケース含) | USB接続時: 最大24時間 (NCオフ) |
USBトランシーバー接続、ノイズキャンセリングオフの条件で、イヤホン単体で最大12時間の連続再生が可能なので、長時間のゲームセッションも安心だ。これは一般的なBluetoothイヤホンと比較しても、かなりおすすめできるポイントである。
見た目も装着感もGood!まるで純正品?
スイッチ2本体のカラーリングによっては(僕の場合はバッチリだった!)、まるで純正品かのように色がマッチし、非常に高い親和性を示す。ソニーと任天堂という異色のコラボ感もオタク心をくすぐる。

エルゴノミックデザインによる快適な装着感は、長時間のゲームプレイでも疲れにくい。
【最重要】ドングルの向きには細心の注意を!排熱問題の懸念
ここが最も注意してほしいポイントである。もしかしたら熱などで本体に問題が発生するかもしれないため、本当に重要だ。
INZONE BudsのUSBトランシーバーはL字型をしている。このドングルの「出っ張りが大きい部分を(スイッチ2本体の排気口側に当たる)左側に向けてしまうと、スイッチ2本体上部にある冷却ファンの排気口を塞いでしまい、排熱に問題が生じる可能性」がある。
必ず、ドングルの出っ張りが大きい部分を(排気口を避けるように)右側に出すなど、排気口を塞がない向きで装着してほしい。これを怠ると、本体内部の熱が適切に排出されず、パフォーマンスの低下や、最悪の場合には本体の故障を引き起こすリスクも考えられる。

このドングルの向きと排熱の問題は、単なる使い勝手を超えて、デバイスの安全性と安定動作に直結する。現状では最大限の注意を払ってほしい。
INZONE Buds (2.4GHz) vs. スイッチ2 標準Bluetoothオーディオ比較
比較項目 | INZONE Buds (2.4GHz USBトランシーバー) | Nintendo Switch 2 標準Bluetoothオーディオ (SBC) |
---|---|---|
接続方式 | 2.4GHzワイヤレス | Bluetooth (SBCコーデック) |
遅延レベル | 極低遅延 (ゲーミングに最適) | やや遅延あり (ゲームによっては気になる可能性) |
音質傾向 | 高音質、クリア、良好な定位感 | 標準的 (SBCコーデックの範囲内) |
ノイズキャンセリング | 対応 (高性能) | 非対応 (イヤホン側に依存) |
マイク利用 | 対応 (高品質AIノイズリダクションマイク) | 対応 (イヤホンマイクに依存、本体マイクも利用可能) |
設定の容易さ | ほぼプラグアンドプレイ (ドングルスイッチ設定に注意) | ペアリング設定が必要 |
バッテリー消費 (本体) | イヤホン側で消費 | イヤホン側で消費 |
安定性 | 比較的安定 | 環境により不安定になる可能性 (2.4GHz帯干渉など) |
価格帯 | 高価 (約¥26,500~) | イヤホンによる (安価なものから高価なものまで) |
その他 | ドングルの物理的取り扱いに注意 (排熱、携帯性) | 無線コントローラー使用数制限の可能性 |
気になる価格は?それでも「買い」なのか?
INZONE Budsの価格は、発売当初ソニーストアで¥29,700(税込)、実売価格は変動するが、おおよそ¥26,500~¥27,000程度である。決して安価ではない。
しかし、「下手なイヤホンやマイクを揃えるより、これ一台で身軽だし性能も良いので、これで十分だ」と感じる。高音質なイヤホン機能、ゲームに不可欠な低遅延接続、高性能ノイズキャンセリング、クリアなマイク、そして十分なバッテリー性能。これら全てを高いレベルで一台に集約している点を考慮すると、その価値は十分にあると僕は考える。
まとめ:INZONE Budsはスイッチ2の「最強」パートナーになれるか?
さて、長々と語ってきたが、結論である。ユーザーとしての僕の評価は、「試してみる価値は大いにある、非常におすすめできるイヤホンだ。気になる方はぜひチェックしてみてほしい!」という熱意に集約される。
スイッチ2において、INZONE Budsが提供する2.4GHz接続の優位性は揺るぎない。音質、遅延、マイク性能のすべてにおいて、標準的なBluetoothイヤホンを凌駕する体験が期待できる。

結論として、INZONE Budsは、スイッチ2において最高のオーディオ体験を提供するポテンシャルを秘めた、極めて魅力的な選択肢の一つであることは間違いない。しかし、その真価を最大限に発揮させるためには、ユーザー側でのある程度のコスト許容が求められる。「条件付き最強」と評するのが、現時点では最も適切な表現だろう。
こんな人におすすめ!
- スイッチ2の携帯モードでのプレイが多く、音質、遅延、マイク性能のいずれにおいても一切の妥協をしたくないハードコアなゲーマー。
- オンラインマルチプレイヤーゲームを頻繁にプレイし、ボイスチャットを多用するユーザー。
- PC、PS5、そしてスイッチ2といった複数のプラットフォームで、同じ高品質なワイヤレスイヤホンを使い回したいと考えているユーザー。
スイッチ2の登場で、僕たちのゲームライフはさらに豊かになるはずである。INZONE Budsのような素晴らしい周辺機器とともに、最高のゲーム体験を追求してみてはいかがだろうか。